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夢工房 『浩』~☆”

夢工房 『浩』~☆”

つるの恩返しv2

「ごるぅらー!どこみて飛んでんじゃー!われー!」

ようこがそう叫ぶや否や、宇宙貨物艇は軌道本線を飛ばされ亜空間に

弾き飛ばされた。

(まったくよー、最近のわかいもんは運転が荒くてしょうがねー。)

野田ようこは、しけもくをくゆらせた。

「コノ宇宙挺ハ、コンピューター制御ガデキマセン。

至急、惑星警察ニ報告イタシマス。」

「おいおい、待ってくれよ!こちとら点数がないんじゃい!

よし、手動でっと---。」

とたんに宇宙挺は時空間の乱気流に飲み込まれた。

気が付くと、むかし3Dシアターで体験した、日本の景色だ。

「太陽系第3惑星地球ニ不時着シマシタ。

今ノ年代ハ西暦938年10月8日デス。」

「なぬ!?平安時代かよー、十二単衣でもきて記念写真っでかー?

参ったなー。それでどないすんの?」

やたらナビと気の合うようこだった。

「ディーラーヲ呼ビマスノデ暫クオ時間ガ掛カル模様デス。」

「はーぁ!どれくらい待たされるん!」

「亜空間カラ、時空間ノ乱気流ニハイリ、ソノ中デスカラ予測不可能デス。」

「しゃーないなー、ちぃーっと、外の空気をすってくるわ。」

宇宙挺のバリアは生きていたので透明にした。

外からは見えない。

ようこはついでに10代の町娘になった。

そのほうが万が一のとき助かると思ったからだ。

野田ようこ、実は42歳。

家には小学生の男の子と中学生の女の子がいる、

旦那は死んで8年経った。

仕事は惑星間の物資を運ぶ仕事、早い話がトラック母ちゃんだ。

「しゃーないやん、母ちゃんが頑張って

 ひもじい子供達を食わせてやらにゃ。

 こんなところで野垂れ死になんかでけへん。」

と、その時むこうから老人がきた、リストセンサーで調べる。

「年齢68歳、妻アリ、子供ナシ。性格温厚。」

「ラッキー!」

ようこは運んでいる圧縮されている小箱を一つ取り出すと、解凍した。

みるみる大きくなってつるになった。

「あのおじいさんの気を引いてや、頼んだで。」

しかけにはまったふりをしたつるのところへ、

通りかかったおじいさん、

データ通り優しくて、つるのしかけを外してくれた。

「よし、今晩はあのじいさんの家に泊めさせてもらおう。」

そして、めいっぱいかわいらしいそれでいて悲しい声でおじいさんの

家を訪問し厄介になることとなった。

とうぜん、義理固いようこはただで泊まらせてもらうのも悪く、

一計を案じ、またつるを使う。

あの家にあるもので生産できるものは、センサーの調べでは絹織物と

いうことだ。

早速荷物からいい素材を見つけ、つるが作ったということにして、

おじいさんたちにあげることにした。

数週間が経った。

ディーラーから連絡が入った。

「遅くなってすいません、明日の夜にはお迎えにあがれます。」

(やっと、帰れるわー。子供達も顔を忘れてるんちゃうか。)

こういう時を考え、おじいさんとおばあさんには機織の作業を見れば

帰るということにしてあったのだ。

おじいさんとおばあさんにミタクナールという誘導薬を飲ませ、見せた。

つるも迫真の演技だ。

その晩ディーラーが部品を取り付け、ようこは元の世界に戻る事が出きた。

次の日、ボスに呼ばれた。

「おい!野田君!いくら緊急事態やゆうて、

あの荷の品物をやっちまったんか?」

反省のようこ。

「だってーボスー!」

「だってもあさってあるかい!

 あの織物は最近開発されたばっかりや。

 フライングシルクっちゅうやつや。

 その織物を羽織っただけで宙を舞えるちゅうしれものや!

 高いでー!

 来月の給料から天引きなー!」

「んな、あほなー。」

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これでおしまい




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